フリーランスエンジニアが法人で不動産投資を使って節税する方法【完全ロードマップ】


目次

  1. フリーランスエンジニアの税負担構造
  2. 法人化による節税の基本
  3. 1人社長の役員報酬設計
  4. 減価償却とは?法人への影響
  5. 不動産投資が節税になる仕組み
  6. IT法人の融資審査ポイント
  7. リスクと失敗例
  8. 向いている人・向いていない人
  9. まとめ

1. フリーランスエンジニアの税負担構造

年商2,000万ケース

売上2,000万円・経費200万円とすると、事業利益は1,800万円です。エンジニアは在庫も原価も人件費(自分以外)もほぼゼロなので、利益率90%は珍しくありません。

利益率90%の現実

利益がそのまま所得になり、所得税・住民税・事業税がかかります。さらに個人事業主なら国民年金・国民健康保険も自己負担です。

所得税+住民税+社会保険

累進課税のため、利益が増えるほど限界税率は上がります。社会保険料も所得連動で増え、手取りに対する公的負担の割合はかなり大きくなります。

法人税との違い

法人は税率が段階的ですが概ね一定幅に収まり、役員報酬として「いつ・いくら」受け取るかを設計できます。個人は「その年の利益」がほぼそのまま課税対象になるため、設計の余地が小さいです。


2. 法人化による節税の基本

法人税率

中小法人の所得に対する法人税率は、所得金額に応じて異なります。単純に「法人のほうが安い」ではなく、役員報酬との組み合わせでトータルの負担を考える必要があります。

所得分散

法人に利益を残し、役員報酬を調整することで、個人への集中課税を分散できます。ただし役員報酬を増やしすぎると社会保険料が増えるため、最適な水準があります。

経費の範囲

法人化すると、業務に直接関係する支出を経費にしやすくなります。ただし「経費にできるから」という理由だけで無駄な支出を増やすのは本末転倒です。

個人事業主との比較

法人化は手続き・ランニングコストがかかります。年商や利益が一定水準を超えてから検討するのが現実的です。


3. 1人社長の役員報酬設計

役員報酬の決め方・社保との両立は別記事で詳しく解説しています → 役員報酬はいくらが最適?【シミュレーション付き】

役員報酬いくらが最適か?

「これが正解」は業態・家族構成・今後の投資計画によって変わります。社会保険の標準報酬月額の区切り、法人残す利益の目安、生活費とのバランスを税理士と一緒にシミュレーションするのが安全です。

社会保険との関係

役員報酬を上げると厚生年金・健康保険の負担が増えます。一方で将来の年金額は増え、傷病手当なども受け取れます。短期的な節税だけでなく、中長期の設計として考える必要があります。

法人利益とのバランス

法人に残す利益が多すぎると法人税が重くなり、少なすぎると設備投資や余裕資金が持ちにくくなります。不動産投資を検討するなら、ある程度の法人残利益の安定が前提になります。


4. 減価償却とは?法人への影響

減価償却の仕組み・キャッシュフロー・リスクは別記事で整理しています → 減価償却とは?【不動産節税の仕組み】

建物の償却

建物は税法上の耐用年数に応じて、毎年一定額を「減価償却費」として経費にできます。中古物件は法定耐用年数から経過年数を差し引いた年数で償却できる場合があります。

中古物件の耐用年数

簡便法では「法定耐用年数 × 経過年数率」などで残存耐用年数を算出します。築年数が長いほど償却年数が短くなり、初期の償却費が大きくなりがちです。

キャッシュフローとの関係

減価償却は「帳簿上の費用」であり、現金は出ていきません。一方でローン返済は現金支出です。節税効果と手元キャッシュの動きを分けて把握することが重要です。

税務上の注意点

利用目的や取引の実態に合っていないと、税務上否認されるリスクがあります。税理士の確認と、証拠の残し方を意識した運用が求められます。


5. 不動産投資が節税になる仕組み

減価償却

建物部分の減価償却費が法人の所得を圧縮し、法人税を減らす効果があります。現金支出を伴わない経費なので、キャッシュを温存したまま利益を圧縮できる点が特徴です。

ローン金利

借入金の利子は経費になります。返済元本は経費になりませんが、金利分は損金算入できるため、レバレッジをかけた場合の税負担を下げる要因になります。

損益通算

不動産所得が赤字になった場合、一定の条件下で法人の他の事業所得と損益通算できる場合があります。制度の要件は毎年確認が必要です。

レバレッジ

自己資金を抑えつつ物件を取得し、減価償却と金利で所得を圧縮する形です。リスクも大きくなるため、返済余力・空室・金利変動をシミュレーションしたうえで判断する必要があります。


6. IT法人の融資審査ポイント

法人1期目での審査のリアル・準備のポイントは別記事で解説しています → IT法人1期目でも融資は通る?審査のリアル

法人1期目でも通る?

実績の少ない法人は審査が厳しくなりがちです。個人時代の収入・実績、継続契約の有無、今後の受注見込みを説明できる資料があると有利になることがあります。

SES契約は評価される?

単発より継続契約のほうが「安定収入」として見られやすい傾向があります。契約内容・単価・期間を分かりやすくまとめた説明資料を用意するとよいです。

決算書の見られ方

売上・利益の水準、成長性、借入金の返済余力などがみられます。利益率が高くキャッシュが厚いIT法人は、説明ができればポジティブに評価されるケースもあります。

自己資金目安

頭金や諸費用を自己資金で賄えるかが問われます。フルローンに近いと審査が通らない・金利が高くなる可能性があるため、ある程度の自己資金を確保してから検討するのが現実的です。


7. リスクと失敗例

節税だけで買う

税金を減らすことだけを目的に物件を選ぶと、立地・収益性・管理コストを軽視しがちです。結果として空室が続いたり、想定外の修繕費でキャッシュが逼迫することがあります。

フルローン

自己資金がほぼゼロでローンに依存すると、金利上昇・空室・修繕で返済が苦しくなりやすいです。余裕資金を持ったうえで、保守的な借入計画にすることが大切です。

空室

想定稼働率が甘いと、返済や経費を賄えなくなります。立地・賃料水準・競合物件を調べ、空室リスクを織り込んだシミュレーションをすべきです。

修繕

経年劣化や大規模修繕の積立不足で、ある年だけ大きな支出が発生することがあります。修繕履歴や管理方針を確認し、資金計画に反映させます。

税務否認

実態のない取引や、個人の資産形成が主目的とみなされるような構成は、税務上否認されるリスクがあります。税理士と相談し、合理的な目的と証拠を整えておくことが重要です。


8. 向いている人・向いていない人

向いている人

  • 年商1,500万円以上で利益が安定している
  • 役員報酬設計を一通り検討したうえで、さらに法人利益の最適化を考えたい
  • 中長期で資産形成も視野に入れている
  • 税理士と連携し、数字とリスクを整理できる

向いていない人

  • 利益が不安定で、返済や経費の余力が少ない
  • 節税だけが目的で、物件の収益性やリスクを軽視している
  • 短期で売却・回収を前提にしている
  • 税理士なしで「なんとなく」始めようとしている

9. まとめ

法人化・役員報酬・減価償却・不動産投資は、それぞれ単体の話ではなく、トータルで設計することが重要です。

このメディアは物件を売るサイトではありません。エンジニア法人がロジックで判断するための材料を提供する場所です。


次に読む(実務で詰まる3点)

  1. 役員報酬はいくらが最適?【シミュレーション付き】 — 役員報酬設計の型と社保との両立
  2. 減価償却とは?【不動産節税の仕組み】 — 償却・CF・リスクの整理
  3. IT法人1期目でも融資は通る?審査のリアル — 融資審査のポイントと準備

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